恒例の、小学校同窓仲間の春秋日帰りバスツアーも、すっかり定着した。
だけど、寄る年波には克てぬというか、自分がよくないか、ツレの介護のどちらかで都合が悪いと言うのが理由で、年々参加者が減っている。 これは止むを得んかも知れませんなあ。
今回は、南信州の紅葉を見にいこうと言う計画に参加、7日は好日だった。
長野県阿智町の「ヘブンスそのはら」で ロープウエイから三段紅葉をみて、岐阜県恵那市の恵那峡巡りをしたあと、明智鉄道で「極楽」へゆくと言う、やや忙しい行程だった。
春は桜、秋は紅葉とはいっても、いつも見頃の時期に巡り会うとは限らないから、幹事も旅行会社も大変だが、参加者も心得たものである。
しばらくぶりに顔を合わせて、「元気してたかい?」に始まり、一日おしゃべりして、愉しいひとときが過ごせれば、それが最高!と心得ている。
こういうグループのガイドさんは、ある意味楽だろうと思う。放っておけばいいのだから。
ところが、集合でトラブルがあって、半時間ほど出発が遅れたために、添乗員が気を揉むことしきり。なにしろ遊覧船や「極楽」行きの「鉄道のタイム」は 決まっていて変えられないからね。
お手洗い休憩や、昼食時間も縮めてようやく挽回!やれやれでした。
「ヘブンスそのはら」は、私は初めてである。

見所は、山頂から展望台へのリフトや、富士見台へのコースなどあるようだったが、時間の関係で標高800㍍の山麓駅から同1,400㍍の山頂駅まで10分、ロープウエイで紅葉の山々を眺望し、山頂を30分程度散策して下って、ここはオシマイ。


山頂付近は、カラマツなどの黄葉樹が多い。


カラマツを詠んだ北原白秋の「落葉松」を口ずさむ。
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。
¦
¦
世の中よ、あはれなりけり。
常なれどうれしかりけり。
山川に山がはの音、
からまつにからまつのかぜ。
やがて落葉するカラマツ林を眺めながら、この詩の最終節に白秋の思い「ものあわれ」や「空(くう)」が、にじんでいるなあ、などと味わいを深くした。
よかったら「落葉松」の曲を、おきき下さい。
再びバスで、恵那峡へと向かう。
恵那峡は、日本で初めて水力発電所が作られたときの人造湖、いわゆる大井ダムのダム湖であるが、奇岩奇勝の景勝地で名高い。
此処はなんども訪れているが、遊覧船乗り場への径もすっかり忘れてしまっているから、イイ加減なもんだ。
ジェット船で約30分、船の窓から見物。エンジンの調子が悪いとかで、テープで流すガイド説明と現場が合わないと、船長が冗談を飛ばしたり、湖のド真ん中でエンジンをとめ、船外に出て席に戻るや、「エンジンにゴミが詰まってました」と言って、不安がっている乗客の笑いを誘うサービスぶり?である。




さて、極楽行きの列車に間に合わないといけない、というので、乗船場から駐車場までの急坂の登りは大変だろうと、添乗員が歩行の不自由な私に気遣って手配してくれたお蔭で、遊覧船の職員にバスまで車で送ってもらう。感謝、感謝。
さて、さいごは第三セクター明智鉄道・恵那駅から二両編成のジーゼルワンマンカーで「極楽」駅へむかう。各駅停車のローカル列車で五つ目の駅が「極楽」。
「だれも見たことがない、だれも行ったことがない、極楽へ皆さんをご案内します」と、運転士がガイド役。
降車の際には「切符は記念に差し上げますが、あまり早くご使用にならないように、88歳以後に、ご使用下さいませ、くれぐれも、急いで使ってはいけませんよ」と、ユーモアたっぷりのアナウンス。
その「極楽」は、山合いの町、むかし極楽寺というお寺があったとか。無人駅の駅前にはコンビニあり。どこにでもあるのですなあ。
「極楽」ってこんなとこ?かって、ニヤニヤしながら帰りのバスのひととなりました。これが、くだんの「極楽」行きのキップ。

帰りのバスは、みんな草臥れて、口数も少なくなり、「綾小路きみまろ」のDVDに、大きな口をあけ、泪流して笑っているうちに無事帰着。
幸せ、ってこんなことかいな、というような一日でした。